塗油器誕生 ■昭和 29年〜(1954)
おなじみの定置式塗油器、その始まりは昭和29年1月に英国より輸入された"アラヂン塗油器"が第一号機でした。その第一号機は試験的に京阪電鉄片町駅構内に取付られ、毎日当社社員が状態を確認しながら、調整を重ねていきました。その後、数台を輸入し各鉄道会社様で試験を重ねていき、昭和30年8月に英国の会社との間でライセンス契約を結び、レール塗油器の国産化を開始しました。国産初の塗油器は名称を"定置式N型"と命名されて、旧国鉄並びに私鉄各社にて御採用頂き全国へと広まって行きました。 |
【定置式N型】 |
〜アラヂン塗油器〜<定置式N型>
英国より送られてきた最初の塗油器には後の定置式のような車輪で踏ませるピストンはありま
せんでした、列車通過時に起こる軌道の振動を利用してグリスを吐出する構造だったのです。
しかし、時代と共に列車通過による振動も少なくなり、次世代の塗油器へとその役目を譲っていきました。
この定置式N型は昭和30年の国産製造開始から昭和45年まで、実に15年もの間製造され続けました。 |
東海道新幹線開業 ■昭和39年〜(1964)
東海道新幹線が開業した年の昭和39年、従来のN型では軌間内のレール下にあるタンクや容量等の問題があり、新幹線の高速運転には対応出来ないため、新型塗油器の開発を開始しました、そして昭和40年3月に新型塗油器"定置式S型"が完成し東海道新幹線、東京〜新大阪までの全線で採用いだだきました。このS型はタンクを別体式として、現在のF−2型の原型となりましたが、基本的にはN型の発展系であった為、当初は今まで経験のない新幹線の速度等により、本来の性能を引き出す為の頻繁な調整を必要としました。 |
<定置式S型>
新幹線用として開発されたS型ですが、グリスタンクは別体式になったものの、列車通過時の振動を
利用する点はN型と変わらず、調整にはかなりの苦労があったようです。しかし英国製を元に国産化した
N型に変わり、弊社が初めて独自性を持って製品化した第一号の塗油器です。 |
新型塗油器 ■昭和44年〜
時代と共に列車通過時の振動も少なくなり、N型では本来の性能を発揮する事が難しくなってきた為、従来のN型とS型に変わる、新しい塗油器の開発が始まりました。そしてピストンを車輪で踏ませグリスを吐出する現在の塗油器の出発点となる機種が生まれたのです。昭和44年8月より旧国鉄線において試験設置して頂き、耐久性能等の各種試験を行った上で、翌年の昭和45年8月に”レール塗油器 定置式F型”として完成し、旧国鉄の在来線、新幹線、私鉄各社にて採用されています。 |
塗油器改良 ■昭和52年〜
F型の改良は続いていましたが、グリスタンク容量が7キロと少なく、またタンク内部増圧のためにスプリングを使用していたこともあり給油が大変であり、また保守を頻繁に行わなければいけない原因となっていました。これを解消するためにタンク容量を増やして32キロとして、タンク内部のスプリングをウエイト板に変更して現在まで続く”定置式レール塗油器F-2型”が完成しました。そして現在までの間に部材変更や主に加圧ポンプを中心とした改良を多々重ねながら現在まで続いています。 |
<現在のF-2型> |
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